2013年12月30日月曜日

絵の具っぽいイカ

白というよりもホワイト的な身のイカの握りが廻っています
日経歌壇(12月29日) 穂村 弘 選「2013年の秀作」
今年は秀作に選ばれることはないと思っていたので嬉しかった。
しかしまさかのイカ短歌とは。
くら寿司及びスシローに感謝したい。

左隣に載っていた、

深海の大蛸がからみつくごとく夜の新幹線がスピード落とす /藤原建一

と合わせての穂村さんの評が、
岡野氏の「イカ」と藤原氏の「蛸」には、それぞれの捉え方にユニークな魅力があった。
というもので、寿司職人としての腕を褒められているような気分になった。
岡野氏の「イカ」、って。

先週の岡井 隆さん選の年間秀作の欄で、
選んだ秀作17首それぞれについては一切触れない謎の選評スペースにおいて、
「君という葡萄畑の夕暮れにたったひとりの農夫でいたい」の歌を
抒情的で深みのある歌の一例として引かれたのも嬉しかったけど、
やっぱりちゃんと17首の中に入っている方が気持ちがすっきりする。

今年の穂村さん選の秀作欄には知っているひとの名前が多かった。

あの羽は飾りなんだよ重力は天使に関与できないからね /木下龍也

これはもう海に向かっている詩だね一行でただ歩む蟻たち /橘高なつめ

こんなにも色あざやかに花開く花ことごとく盲目の星 /砂山ふらり

初掲時に読んで気に入っていた次の3首が選ばれていたのも良かった。

奇数本入りのパックが並んでる鳥手羽先の奇数奇数奇数 /田中有芽子

〈散骨の代行サービスございます。〉海のきらめくパンフレットに /鈴木美紀子

「エッみんな眠るんですか」夜行バスの隣の席の人のつぶやき /小野田 裕

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