2013年6月29日土曜日

連続性

カラオケの部屋を出る瞬間僕の連続性にノイズが走る

さっきからピコピコ鳴ってない?と聞く僕にあなたは「ピコーン、じゃない?」

なめらかなプリンを食べて「あ、」と言う僕に続いて口が「なめらか」

「洗濯機、ドライでね」って頼まれてチキン食べたくなっている口

フェイントにかかって脇見2秒間、高速道路の意注ドーピス

2013年6月28日金曜日

甘酸っぱさ

スパンコール、さわると実は☆だった廻って○にみえてたんだね   /穂村弘 『手紙魔まみ、夏の引っ越し(ウサギ連れ)』

みたいなキラキラ感。
ちょっとチープで、吹けば飛ぶように軽くて、ほどよい切なさもある。
と、最初聴いたときはそう思ったけど、それはサウンド面だけかも。

リバティーンズみたいな音でリバティーンズより良いと思ったのはこの曲がはじめてかなあ。


in the toilet

グレゴール・ザムザはになれたのに僕には同じ朝ばかり来る

限りなく豆腐に近い脳みそに醤油をかけたような憂鬱

うらぶれたUFOキャッチャー内のどぶねずみのようなミッキーマウス

日めくりがぼそっと落ちて現れた画鋲の穴の闇が深いよ

トイレットペーパー聞いてくれ僕は芯になるのが心底怖い

2013年6月27日木曜日

気になるビル

YKKのビルっぽい。光栄です。

第2ファスナービル

第2ファスナーエレメント

第2ファスナーに関する特許があった。
なんかよく分からないけど貼っておこう。

ファスナーストリンガー及びスライドファスナー、並びにファスナーストリンガーの補修方法

透明感

透明感のある、と形容される声の多くには、
「澄みきった空気」という印象を受ける。
深呼吸して身体に取りこめば心地いいけれど、
滞在時間はそんなに長くない。

青葉市子さんの声は、透明は透明でも「澄みきった真水」という印象。

この曲を聴いてもらったあるひとの言葉を借りて言うと、

軽やかというよりは、しっとりと水分を含んで、すこし重みのある声が、
ひたひたとすきまに入り込んでくるような。
身体の(頭の、心の)隅々にいきわたって、
しばらく回遊しているような。

ライブで観たときは、MCの声にも同じ印象を受けたし、
時間が経つにつれて会場全体が潤っていく感じすらあった。

だから、青葉市子さんの音楽を聴いたあとは、
身体のどこかが更新されたような感覚になるし、
同じような感覚を与えられる短歌をつくりたいと思う。



salon de “MUDA-ZA”vol.1_青葉市子 from Masaki Yanagida on Vimeo.

2013年6月26日水曜日

思い出す夏

ひたされて光るはつなつ こごりかけソーダゼリーのプールがひらく

現国の補講へ向かう少女らの傍線bの気持ちを述べよ

べこべことあの娘が鳴らす下敷きの風はシトラスミントをのせて

突き刺さるように奥まで喉に入れまるごと舐めている葡萄飴

桐下駄をぬいだ素足がだまされるフローリングのやさしい嘘に

象印マホービンから美しい世界の果ての波のさざめき

「どこか違う国へ行きたい」踊り場でウォータークーラー踏んで僕らは

富士山にむかって叫ぶ「おかあちゃん、先にあがるでスコール飲むで」

さかさまの洗面器からざぱーんと水。さようなら今日のできごと

ランドセル内ですずしく一ヶ月ねむったままのけいさんドリル



2013年6月25日火曜日

永遠に発音されない

GRAND FRONT のDが可哀想だ。

通りがかってロゴマークを見るたびに思う。

正しくは「グランフロント」だけど、
僕のまわりの年配のおじさん、おばさんの間では、
「グランドフロン」と「グランフロン」と「グランドフロント」のどれかで
呼んでしまっているひとも少なくない。
そういうひとと話すときにさらっと間違いを指摘できるひとに僕は別段なりたくはない.


HERMESのHを見ても可哀想とは思わない。

ポエジー表記論 vol.1

「たましい」と書けばポエジーが宿る余地は残されるが、
「魂」と書くと松岡修造が宿りがち。

スタンドアローン

前向きなだけの言葉を前向きな姿勢で聞いて前向きに死ぬ

人脈として僕を見るひとたちの名刺を限界まで折り畳む

スタンスは持ってないけど立ち位置はGPSが示してくれる

「健康で長寿ライフ」に朱が入り「で」をdeに変えて校了となる

死にぎわに後悔しない生き方を押しつけられて息をひきとる

2013年6月24日月曜日

リュウとサニーとジュディとマリー

きれいな言葉を使ってきれいにしたような町できれいに僕は育った

裾上げを待つ ストⅡのデモ音がやけに響いているゲーセンで

カーステに “RADIO” 流れて夕焼けをゆうやけにするYUKIの歌声

夕方の風がサニーを抜けてゆく臨時ニュースの声をさらって

ぎりぎりの夕陽がとどく二段階右折待ちする僕の胸まで

ヒペリカムとギムレット

花とお酒の名前はさっぱりわからない。

でも、自分がどんな花やどんなお酒を好きかは自分で分かっている。


花は黄色いのが好きだ。

先日、道ばたに綺麗なイエローが咲いていたのを写真に撮って、
花の名前を飯田和馬さんにたずねたら「ヒペリカムですね」と教えてくれた。
「癒えろー」とは言ってくれなかった。

ヒペリカムは好きな花になった。


お酒は柑橘系が好きだ。

先日BARに行ったとき、たまにはメニューから選ぶんじゃなく
「こんな感じのやつください」みたいな大人なオーダーをしてみようと思って、
「柑橘系で、のどにキューッとくるやつください」と言ったらマスターはしどろもどろな感じになり、
「そういうのは普通にメニューから選びはったらええですやん」という空気を醸し出した。
僕は心のなかで「すみません」と言った。

しばらくして何らかの果肉の浮いた液体が出てきた。
マスターはそれを指さし、念を押すように「これは、ギムレットです」と和訳的な日本語で教えてくれた。
何らかの果肉はグレープフルーツだった。

ギムレットは好きなお酒になったが、
次はもう少し抽象度の高いオーダーができるようにしたい。


好きになったものの名前はだいたい好きな感じ。



2013年6月21日金曜日

美味しいお蕎麦屋さん

こないだ、ジャンカラではないちょっと綺麗な感じのカラオケに行ったら、
Syrup16g が20曲以上も入っていて興奮して、
特に歌わずにいろいろ流して聴いていた。

『生活』や『神のカルマ』はもちろんのこと、

『吐く血』や『うお座』みたいなマイナーなやつまで入っていた。

で、カラオケは歌詞がテロップで流れるから、
あらためて「五十嵐さんの書く歌詞、しびれるわー」ってなった。

あんな暗い歌詞の歌、ひとりカラオケでしか需要ないと思うけど。
合コンの二次会とかで楽しく歌いに行ってるときに
「最新ビデオの棚の前で2時間以上も立ちつくして何を借りればいい?」
とか叫ばれても困るだろう。

五十嵐さんは先日なんとか生還したようだし、
いつかまたライブに行ってあのかっこいいギター聴きたいな。

歌詞はここで読めます。


スーパーマーケットの歌

ただ生きるためのスーパー玉出ただいきがるための成城石井   かんちゃんほ

二回目の死を待つ肉のために鳴るタイムセールの鐘朗らかに   岡野大嗣

明日からも生きようとする者だけが集う夕べのスーパーマーケット   ななみーぬ



僕以外は外国のひとみたいな名前だな。

他にもいいのがあれば教えてください。

父が出てくる歌

ねぇ父よ十八までは数えてよわたしこのあいだ十八になった    平岡あみ

ともだちはみんな雑巾ぼくだけが父の肌着で窓を拭いてる   岡野大嗣

お風呂場に新聞紙敷く「お父さん、僕は補欠になるんやろうか」   木下龍也

父にねだって買ってもらった左用グローブ野球はうまくならなかったけれど   森本平

吐いている父の背中を妻の手がさすりつづける月光の岸   穂村弘



父の日にアップしようと思って忘れていた。

Summer Nostalgia


























この短歌について詳しくは この記事

2013年6月20日木曜日

べた褒めされてみた

2ヶ月くらい前になるけれど、
精神も見た目も佇まいも全て美しい檀可南子さんが僕のことをべた褒めしてくれた。
その記事→ 岡野大嗣をべた褒めしてみた
ストレートなタイトルがやや照れくさいけれど、
「ああ、自分でつくりたいと思っているのはこんな短歌だな」
というのを言葉にしてくれていたのが嬉しかった。
さすが精神も見た目も佇まいも全て美しいひとだな、と思った。

短歌の調子がわるいときに読み返している。

他人の顔


リクエストされなんとなく友達になった ところでこの顔は誰

男性としてではなくて人として尊敬されて濁される顔

すこしなら逆に体にいいという噂を信じ毒を飲む顔

八十年生きるとしてのアバウトな終着点へ折り返す顔

平和だねエコだね日本人だよね長生きしたいよねと言う顔

環境や健康に良い商品によからぬ思い込めて売る顔

似合わない服を着ながら本当の自分を探し続けてる顔

何ひとつ決定してはいないのにひとまずここで切り上げる顔

僕よりも不細工なのに付き合った女性の数が10倍の顔

百点を取っているのに百点を取ってはいないふりをする顔

整髪にかける時間が睡眠の時間に次いで長そうな顔

甲子園出場歴が人生のもはやピークになりそうな顔

赤兎馬を駆りゆく呂布を予備校の休憩室で操作する顔

首都圏で働く女性100人の声を世間の声とする顔

目と鼻は水嶋ヒロに似ているが水嶋ヒロと似て非なる顔

サウナ水風呂サウナ水風呂サウナ水風呂サウナくりかえす顔

ごはんつぶひとつぶほどの才能をどろどろになるまで舐める顔

大人気ロックバンドのベーシストとしてソロアルバムを出す顔

オリコンのベストテン内常連のベストアルバムばかり買う顔

これまでの女の数とコネのある人脈数を言いふらす顔

結婚に対する妙な価値観のキャッチコピーをひねりだす顔

しなやかにきちんと凛とていねいに暮らしてセンスひけらかす顔

野菜には「お」を付けそしてお野菜は食べるじゃなくて摂ると言う顔

乗ってすぐ俯き力こめながら「閉」ボタンを連打する顔

ひとりでも生きていけるという旨のツイートをしてリプを待つ顔

やすらかに息を引き取る寸前の人にあきらめるなと言う顔

年に約3万人の自殺者を3万人として括る顔

「頑張った分があなたの収入」の謳い文句にだまされる顔

人件費換算という概念で結果的には人ころす顔

あたらしい友達募集中(ただし現品限り、先着ひとり)


(6月24日追記)

7首目の「似合わない服を~」、
安福さんにイラストを添えてもらえた。うれしい。
『食器と食パンとペン』




2013年6月19日水曜日

よく生きる

「子は宝、子はお宝」ときみどりの資料を持って立つ二人組

よく生きるための教材が毎月届く ゆりかごから墓場まで

反抗の仕方も模範的だよね幼児教材アニメの幼児

おちゃんわんはひだりおはしはみぎぼくとやくそくだよと言うしまじろう

したら鹿じゃなくなるからせんべいの売り場は襲わない奈良の鹿

ベランダの蝉に触れたら思い出し笑いのように鳴いてから死ぬ

一歳を迎えたパグの盛大に半額になる生体価格

吸いこんで出し吸いこんで出しルンバデモ機は過食嘔吐のように

今週のベスト3が全て貸し出し中のため4位を借りる

症状を記すペン先 そのペンを掴む指先 支点は手首

レジ袋不要カードをかごに入れといたら声を掛けられず済む

18歳以上の僕は「18歳以上ですか?」に「いいえ」も押せる

Amazonのレビューを書いたAmazonのレビューを書いてみたかったから

なぜか今日レジが女でそのせいで延滞になる小向美奈子

千円を同封のうえ延滞のDVDをポストに落とす

おちゃわんはひだりおはしはみぎだからコーチが上げている腕は右

「そのままのあなたでいい」と言うひとの顔はたいてい嘘つきの顔

僕ひとり乗せた車で僕はいま僕の命を預かっている

容疑者が送検されるコンビニにふらっと寄った帰りみたいに

キャスターは眉をひそめて「通常の通り魔像と異なりますね」




2013年6月17日月曜日

out of the blue

電線の束を目で追うこの街の頸動脈の位置をさがして

静止画の蝶舞う午後にあかねさすニュータウンから無音の叫び

ゆっくりと消えてゆくのも一瞬で燃え尽きるのもどっちも無理だ

ぼくの背のほうへ電車は傾いて向かいの窓が空だけになる

まだ生きる理由をさがす屋上のメッシュフェンスに身を乗り出して

フットボールと呼ばない国で

必ずしも勝たなくていい戦いが、そこにはある
レーシック検討及びオノマトペ研究のため観るイラク戦

起き抜けの裸眼にイラク代表は芝の緑に擬態しやがる

さみだれの消化試合に冴えわたる松木安太郎のオノマトペ
朝まだき、タイムラインに観るブラジル戦
終電を前にぎくしゃく急造のセンターバックみたいなふたり

スタメンに嗣がふたりいてそのことを誇りに思ったりはしないよ

やわらかい朝の光につつまれて肩を寄せ合うKAGAWAとUCHIDA

神様の一服


うつくしく生きたくなる電線


Vanishing Point


2013年6月16日日曜日

今日活字になった歌

線香を這う火のようにモノレールが終着駅へ向かうのを見る
日経歌壇(6月16日) 穂村 弘 選
(穂村さんの評)
ただ一度きりで燃え尽きる「線香」の「火」に見立てたことが、機械の「モノレール」に命の生々しさを与えた。

堀江敏幸さんの「いつか王子駅で」を読んでから、
堀江さんの言葉を借りて言うところの
モノレールの地に足のつかない孤絶ぶり」に
強く惹かれるようになった。


というわけで、
ようやくモノレールの歌を活字にすることできてよかった。



2013年6月14日金曜日

You've got a something

虹の立つ有料道でカーステが歌いはじめるシンディ・ローパー

あらかじめそのシステムに孕まれた僕の右手が抜く通過券

「前年比7パー減」と損益のように政府は自殺者数を

あれが誰かってあれは銅像だろしかもここは圏外だぜ察しろよ

期限切れクーポンだった単時点的に「意味だ」と崇めてたのは

Internal Server Error

気まぐれに神が下界をのぞきこみリアルタイムで観るグロ動画

現金が欲しいと書けば「あげます」と応える人のいる掲示版

申し込み規約に何か書いてある書いてある書いてあ 同意する

クリックで命を救うデリバリーピザをビールでやっつけながら

終わらない痛みのように立ち上がるアップデートの通知を閉じる

2013年6月10日月曜日

短歌meetsMusic 番外編

『うたらば』ブログパーツの「強」で採用されていた、

八十回勝つため六十回敗ける広島カープみたいに俺も / 牛隆佑

を読んですぐに思い出した一曲。

前々から、カープファンの牛さんの短歌にこの曲を合わせたいと

思っていたところなので、ちょうどよかった。

でもあまりにもイメージがつきすぎなミーツなので、番外編ということで。


牛隆佑さんのブログはこちら 『消燈グレゴリー その三』


【柴田聡子/カープファンの子】

夕方の風がサニーを抜けてゆく臨時ニュースの声をさらって

山本まともさんの企画による
地方対抗短歌戦に出詠した歌。

この『風のサニー』という曲を聴いて、
こどもの頃、
祖父に連れられて行った海沿いか川沿いかのドライブの記憶を思い出してつくった。
ありふれた日常の中に臨時ニュースという非日常が入り込む瞬間をきれいに捉えていると思います。
という評を、高松紗都子さんにいただけたのは嬉しかった。

題詠にとりくむときに心掛けているのは、
その題がなかったとしても、いつの日かきっと自分がつくりそうな歌を残すこと。
無理につくりたくはない。

今回はそれがちゃんとできてよかった。

高松紗都子さんのブログはこちら 『羽うさぎの歌』


【風のサニー/花柄ランタン】

2013年6月7日金曜日

Sports Festival

顔面をヴィデオキャメラに挿げ替えた父兄に翻る万国旗

あおられた支柱がぼくに突き刺さり全部中止になればいいのに

音だけで血が吹くようにこめかみを揉みほぐしつつピストルを待つ

ぼくの息だけが聞こえるぼろぼろのマジックテープをきつめにとめる

先生と弁当食べる校庭のレジャーシートの海はまぶしい

今日活字になった歌

Tabキーの羽虫を潰しちゃったTabなんて滅多に押さないのにな

ダ・ヴィンチ『短歌ください』(2013年7月号)第63回 自由題 
(穂村さんの選評)
「運の悪い奴だな、と思います」との作者コメントあり。我々人間に対して、神様もそんな風に思ってるのかも。日常詠の中に摂理への眼差しが宿っています。
いつもは20代女性が多い気がする「短歌ください」だけど、
今月は30代男性の健闘が目立っていた。
また健闘したい。

2013年6月5日水曜日

まだ生きる理由をさがす屋上のメッシュフェンスに身を乗り出して

浪江まき子さんがこの短歌を読んで

映画『青い春』を彷彿とさせますね。

と言ってくれたので、観てみようと思う。

明日は健康診断。もう既に採血の瞬間を想像してびびっている。