2013年12月31日火曜日

紅白短歌合戦カレンダー(1月)

1月のカレンダーには、たきおとさんの短歌を使わせていただきました。
安福望さんの手描きカレンダーです。
安福さん、本当にありがとうございました。

タテ版とヨコ版があります。
解像度は高めのまま貼り付けていますので、画像保存をした上で、
ポスターにしたりデスクカレンダーのフレームに入れたりしてお使いください。

2月以降も、安福さんのご都合のつく範囲内で継続していく予定です。
楽しみにお待ちください。



2013年12月30日月曜日

『紅白短歌合戦'13』エントリーリスト

おまたせいたしました。

『紅白短歌合戦'13』のエントリーリストは、こちら

「投稿して、受領確認メールも届いたのにエントリーされていない」という場合、
お手数をお掛けしますが
紅白短歌合戦のTwitterアカウント(@kouhakutanka)宛にリプライでご一報ください。

リストの順番に概ね従いつつ、
午前9時頃から、およそ2分間隔でツイートしていきます。
白組と紅組に人数差があるので、
途中、紅組の短歌のツイートが続くところもあります。
コラボ枠も、ツイート順はエントリーナンバーに従いますが、
どの時間帯にツイートされるかは未定です。

300首を超えており、合間に短歌関連アカウントからのCMツイートや、
昨年好評だった「響乃の部屋」「レジェンド枠(レジェンド歌人の短歌ツイート)」もはさむため、
かなりの長丁場になります。
好きなペースで楽しんでいただければと思います。
順調にいけば午後11時頃までには終わる予定です。

できる限りの注意を払って運営していますが、
不測のトラブルがあった場合、ツイートが滞る時間帯もあるかもしれません。

どうかもろもろ、温かく見守っていただけると幸いです。

岡野大嗣

絵の具っぽいイカ

白というよりもホワイト的な身のイカの握りが廻っています
日経歌壇(12月29日) 穂村 弘 選「2013年の秀作」
今年は秀作に選ばれることはないと思っていたので嬉しかった。
しかしまさかのイカ短歌とは。
くら寿司及びスシローに感謝したい。

左隣に載っていた、

深海の大蛸がからみつくごとく夜の新幹線がスピード落とす /藤原建一

と合わせての穂村さんの評が、
岡野氏の「イカ」と藤原氏の「蛸」には、それぞれの捉え方にユニークな魅力があった。
というもので、寿司職人としての腕を褒められているような気分になった。
岡野氏の「イカ」、って。

先週の岡井 隆さん選の年間秀作の欄で、
選んだ秀作17首それぞれについては一切触れない謎の選評スペースにおいて、
「君という葡萄畑の夕暮れにたったひとりの農夫でいたい」の歌を
抒情的で深みのある歌の一例として引かれたのも嬉しかったけど、
やっぱりちゃんと17首の中に入っている方が気持ちがすっきりする。

今年の穂村さん選の秀作欄には知っているひとの名前が多かった。

あの羽は飾りなんだよ重力は天使に関与できないからね /木下龍也

これはもう海に向かっている詩だね一行でただ歩む蟻たち /橘高なつめ

こんなにも色あざやかに花開く花ことごとく盲目の星 /砂山ふらり

初掲時に読んで気に入っていた次の3首が選ばれていたのも良かった。

奇数本入りのパックが並んでる鳥手羽先の奇数奇数奇数 /田中有芽子

〈散骨の代行サービスございます。〉海のきらめくパンフレットに /鈴木美紀子

「エッみんな眠るんですか」夜行バスの隣の席の人のつぶやき /小野田 裕

2013年12月6日金曜日

『紅白短歌合戦'13』 開催概要


今年も大晦日に短歌で紅白歌合戦をします。

今年一年を振り返って、
いちばん思い入れのある自作の短歌を投稿してください。

この一年で短歌を1首でもつくったことのある方で、
短歌のことが好きな方ならどなたでも参加できます。

集まった歌は、大晦日にゆるゆるとツイートしていきます。
それを、紅白歌合戦を観るように楽しんでいただこうという企画です。

昨年のまとめはこちら。

(前夜祭も開催しました。今年も前夜祭します。紅白短歌前夜祭


ルールは下記の通りです。


【参加枠について】

個人参加枠とコラボ参加枠があります。
いずれかの枠のみの参加でも、掛け持ちの参加でもOKです。
複数のコラボの掛け持ちも可とします。
個人参加は1人1首まで、
コラボ参加は1コラボにつき最大5首までで、
たとえば5人×1首ずつ、2人×2首ずつなど、
自由に構成して頂けます。


【投稿について】

募集期間:12月7日(土)0時~21日(土)24時まで
※投稿したい歌が決まっている方は、早めにご投稿頂けると助かります。

投稿先岡野大嗣のメールアドレス daiji.okano★gmail.com 宛
(★は@に置き換えてください)

件名は紅白短歌合戦:短歌投稿」としてください。

メール本文には、

個人参加の場合
①短歌(必要ならルビも)
②筆名
③参加希望チーム(紅組 or 白組、を選択)

コラボ参加の場合
①グループ名 ※無しでも可
②コラボタイトル ※無しでも可
③短歌 ※歌A(紅白太郎)、歌B(紅白花子)、歌C(紅白次郎) のように記してください。

④参加希望チーム(紅組 or 白組 or 紅白ミックス、を選択)


こちらで投稿内容を確認した後、「受け付けました」メールを返信します。
3日経っても返信が来ない場合はご一報ください。



【よくある質問】

:紅組か白組かはどうやって決めるの?
:基本的には女性は紅組、男性は白組を選んで頂ければよいのですが、あくまで自己申告でかまいません。

:未発表の歌を投稿してもいいの?
:投稿して頂く短歌は、既発表でも未発表でもOKです。但し、著作権が御自身に帰属している作品でお願いします。(投稿して頂いた歌は、基本的にはTwitterのタイムラインに流すだけですので、自作の歌であれば問題ないと思います。  
:勝敗はどうやって決めるの?
:本家の紅白歌合戦のように「紅」か「白」かで決着を付けるのは難しいので、何らかの方法で投稿歌の中からベスト10を決めて、その10首の作者さんには何かいいことを用意しようと思います。(※昨年の順位と、その方々へのプレゼントも、13日までには発表します)18日追記:すみません、「何かいいこと」と昨年の順位の発表はもう少しお待ちください。
 
ルールについては以上です。
何か不明な点がありましたら、このブログ記事のコメント欄にてご質問ください。

前夜祭・大晦日当日の流れや、関連お楽しみ企画など、
更なる詳細については
25日~28日ぐらいにご案内します。


たくさんの投稿をお待ちしております!

2013年11月25日月曜日

うたらばブログパーツ 『目』

電線の束を目で追うこの街の頸動脈の位置をさがして

ドナルドの視線を追えば斜交いにカーネルがいてただならぬ夜


どちらも昔つくったもの。

「電線の束」という言葉について、
あまり自分が使いそうにない表現なのに
この歌をつくるときにするりと出てきたことを不思議に思っていたけど、
最近この曲を久しぶりに聴いていて、同じ言葉が使われていたのを知って納得した。

中村一義/魂の本 歌詞

「電線の束、今日の赤、痛い状態は直感で。」

描写内容もちょっと似ているような。

もしレコードだったら擦り切れるほど聴いていたような音楽の言葉は、
きっと無意識のレベルに刷り込まれていて、
ことあるごとに御守りのように作用しているんだと思う。


2013年11月20日水曜日

インターチェンジ

生き延びるために聴いてる音楽が自分で死んだひとのばかりだ

銃口の闇に焦がれて極東のENEOSで引く給油トリガー

運転に支障は無くて何年も放置している心の異音

違反速度で逃げたってどこまでも追いかけてくるこの脳みそめ

アクセルを踏み込みなおす降り口を逃した先に夕陽が見えて

渋滞のニュース聞きつつその距離に連なりを成す命を思う

ジャンクションの弧線が光る ささやかな意志の前途を讃えるように


『NHK短歌』2013年11月号「ジセダイタンカ」への寄稿作品
3首目は安福望さんのブログ「食器と食パンとペン」で絵をつけてもらった
→ 水面と眠り

2013年11月3日日曜日

今日活字になった歌

おばあさんの手押し車を先頭に3メートルの鳩の渋滞
日経歌壇(11月3日) 穂村 弘 選
今回は選評は無し。
敬愛する鈴木晴香さんと隣り合わせで嬉しかった。

嫉妬してください例えばこの雨が君に降らない雨であること /鈴木晴香


同じく敬愛する橘高なつめさんの歌も載っていた。



陽を翳すきみの右手がおもむろに作るキツネは鳴き声も無く /橘高なつめ
(穂村さんの評)
当然なはずの「鳴き声も無く」に不思議な情感が宿った。
なつめさんの歌はいつも重層的で、視覚以外の感覚に訴えてくる力が強い。
漢字とひらがなの表記のバランスも僕の好みで、すっかりファンになっている。
いつか橘高なつめ論を書きたい。
風の便りによると、東洋一の大人かわいい女子らしい。

なつめさんの歌にも晴香さんの歌にも、「君」「きみ」が出てくるのに、
僕の歌に出てくるのはおばあさんと大量の鳩だけ。
「君」が出てこない歌 のときと同じで、また脳内で坂井泉水が歌い続けている。


一番凄かったのは次の歌。

わたしが、と思わず胸にあてた手がピンマイク通し爆音となる /鈴木美紀子
(穂村さんの評)
「ピンマイク」ということは多くの他者に見られている状況だろう。思わぬ「爆音」によって、「わたし」が生の特異点であることが露わになった。

今日はNHKで名前を読まれて、日経で名前が活字になった。

何かちょっとした事件の容疑者にでもならない限り実現しないことで、
短歌をやっていて良かったと思った。ような気がした。

今日電波に乗った歌

あまびこの自動音声に導かれしんと済みゆく生前予約

NHK短歌(2013年11月3日放送) 「声」小島ゆかり選
(小島さんの選評)
これは「あまびこの」というのが「音」にかかる枕詞なんですね。本当でしたら「あまびこの音」っていうふうにいきたいんですけども、こういうちょっと変則的な形もたまにありますので、「自動音声」の「音」にかけていったんですね。「自動音声」とか「生前予約」とか大変現代的な熟語とともに「あまびこの」という古代的な枕詞が活きている、独創的な「声」の題詠、「音」の作品だと思います。

最近、仕事でテープ起こしする機会が多いから、ついつい選評を文字に起こしてしまった。

番組HPはこちら。

入選報告の電話が掛かってきて例のごとく自歌解説を求められ、
ぼんやりとしたコメントを返して電話を切ろうとしたとき、

「あの、岡野さんは短歌男子の岡野さんでいらっしゃいますか?」

と、電話口の担当女性の方にたずねられた。

咄嗟に聞かれたので、
一瞬、一般的な意味合いで「短歌をやっている男子ですか?」と聞かれていると思いつつ
「ああ、まあ、はい。短歌好きです。」と応えると、

「あたし、拝見しましたっ。『短歌男子』っ。素敵ですよねえ。」
「岡野さんビシッ!と決めてらしてっ。ネクタイきゅっとされてっ。」
「小島先生にもその旨お伝えしておきますっ。」

と、まくしたてられてどぎまぎした。

「その旨」がどんな旨だったのかは分からないけど、
一年半くらい前に入選したときに一席になれなかったのが悔しかったので、
今回そうなれたのは良かった。

2013年10月21日月曜日

ジセダイタンカ

『NHK短歌』11月号の「ジセダイタンカ」のコーナーに、
「インターチェンジ」というタイトルの7首連作を寄稿しています。

苦しいときにいつもお世話になっているカート・コバーン氏へのオマージュとしてつくりました。

読んでもらえたら嬉しいです。

2013年10月11日金曜日

例の番組

例のテレビの例の短歌番組で、入選歌を放映してもらうことになりました。
放送日は11月3日(日)です。

と、こんな感じでぼやかしてなら告知していいと言われたので告知しました。
早起きできる方は観ていただけると嬉しいです。

2013年10月4日金曜日

今日活字になった歌

念のため林檎も鞄に入れている果物ナイフ持ち歩くとき

ダ・ヴィンチ『短歌ください』(2013年11月号)第67回「果物」 
(穂村さんの選評)
「果物ナイフだけ持っていると軽犯罪法違反に問われる可能性があるらしいです」との作者コメントあり。なんともアイロニカルな歌ですね。「鞄」に「林檎」は大きすぎて邪魔だけど、蜜柑やさくらんぼじゃ駄目なんだ。

使い終わった果物ナイフを「あとで食器とまとめて洗おう」と思って

台所のシンクに置きっぱなしにした結果、そこに置いていたことを忘れて、
食器を洗うときにフォークか何かと勘違いして握ってしまい、指をざっくり切ったことがある。
それ以来、果物ナイフの刃を見るのが怖い。

余談でした。


果物テーマには他にこんな歌を投稿していた。

生ハムのメロン!ピラフの干し葡萄!酢豚のパイン! みな蜂起せよ!
甘くない西瓜もたまにあることを実家出てから初めて知った

ピラフの干し葡萄が一番苦手。

自由テーマの方に凄いのを出したつもりだったのに載っていなくて、

悔しくて「もう短歌あげないぞっ」と思った。
でも、見直してみると大きな傷がある歌だったので、そこを補修してストックすることにした。



今回は他に、日経歌壇で名前をよく見る横山ひろこさんの歌も載っていた。
たぶん同じひとだと思う。

スイカ割りよくやりましたなつかしい青い青いスーパーの床に /横山ひろこ



あと、僕の右隣に載っていた竹林ミ來さんの歌も良かった。


教室に打ちつける雨 給食のバナナを女子は決して食べない /竹林ミ來


竹林さんの短歌にはいつも独特の未来観があり、

僕は竹林さんのことを密かに「竹林ミ來観」という筆名で呼んでいる。

今月号で採用されていた方々の年齢はいつもより少し高めで、

おかげで僕はいつもより少しだけ若くなった気になれて嬉しかった。

2013年10月1日火曜日

短歌meetsMusic 65

獣舎へと運ばれてゆく柵越しにアフリカゾウはペンギンに会う /ユキノ進

meets(R.E.M. /Near Wild Heaven)


短歌meetsMusic 64

窓は声 にごりなきその声域にみずみずと街は湛えられたり /大平千賀

meets(Priscilla Ahn/Dream)

短歌meetsMusic 63

試着室くつを脱ぐのかわからない わからないまま一歩踏み出す /竹林ミ來

meets(SALU/In My Life)

2013年9月19日木曜日

短歌meetsMusic 62

言われれば私のものでレントゲン写真の肺は夜空のようだ  /浪江まき子
meets(田中茉裕/小さなリンジー

2013年9月6日金曜日

今日活字になった歌

僕を切り売りするような感覚で切り取る分割証明写真

ダ・ヴィンチ『短歌ください』(2013年10月号)第66回「写真」 
(穂村さんの選評)
実感がありますね。「僕を切り/売りするような/感覚で/切り取る分割/証明写真」と、五七五七七のリズムによって、現に内容が「分割」されているところもいい。
プリクラではそういう感覚にならなかった。1回しかやったことないけど。

他にもう1首だけ送っていて、載るとしたらこっちの方かと思っていた。
でも今見るといまいちな気がする。
それ用に撮ってないから歯を見せておだやかな目の指名手配者

自由詠の方に載ってた木下さんの短歌。
僕用の墓だと思う地下駐車場で車を眠らせるとき /木下龍也 
作者コメントとして引かれていた「エンジンを切り、ふっと静かになるあの瞬間が好きです」は
分かるなあ。あの瞬間はいい。小さな死。

あと、工藤吉生さんの短歌が題と自由の両方に載っていて、
それぞれ工藤さんらしくてよかった。
桜の木見上げて写真を撮るひとの片方曲げた足がよかった /工藤吉生 (題「写真」) 
精子以前、子のない頃の父の食う牛丼以前、牛や稲穂や /同 (自由詠)
自由詠の方の「精子」を、僕は勝手に「たね」と読んでいたので、
音数もぴったりでぐいぐい読めて気持ちいい歌だと思った。
工藤さんの代表歌のひとつになりそうな予感。

僕も、来月号のは題も自由も自信があるんだけど、両方載るといいな。

恰好いいおじさんの愛と云ふ名の個展

冊子『短歌の夜明けらしきもの』『五年経つのに』の写真でお世話になっている
高木亨さんの個展が、大阪市西区で開催されています。

グラフィックデザイン展「LOVE AFFAIR〜愛と云ふ名の不幸に就いて」


9月16日(月)まで。
近くにお越しの際は立ち寄ってみてはいかがでしょうか。

高木さんは写真だけじゃなく、グラフィックデザインも、本人も格好いいですよ。
僕の知りうる範囲では、見た目も考え方も一番格好いいおじさん。
おじさんと呼ぶのは失礼な気がするけど。
あと10日間か。行けるかな・・・

※会場に行けば御本人に会えるというわけではありませんが、
熱望すれば会えるかもしれません。

2013年8月27日火曜日

短歌meetsMusic 61

一瞬のああそのような印象を大切として人を記憶す  /永田紅
meets(白い旗/長谷川健一)

短歌meetsMusic 60

目の奥に夜をおさめてやさしかった真昼のことを胸にとかした  /東直子
meets(Lia Ices/Love Is Won)

そんなもん何でか知らん

引っこしは命かけてもしたくない何でか知らん岸和田が好き /福島悠人

 天神祭短歌大賞 子ども部門 短歌ウィーク賞入選作(テーマ「大阪」)

2013年8月11日日曜日

今日活字になった歌

「危ないところマップづくり」で町に出て危ないところを見つけてうれしい
毎日歌壇(8月11日) 加藤 治郞 選
4月頃に、とある方が企画した突発的なWeb歌会らしき場に提出した歌。
「危ない」を「あぶない」と表記するかは迷ったけど、見たままの事実通りにした。

「感情を表す言葉を使わずにその感情を表現しよう」ということを
公式のように捉え過ぎると、読むのもつくるのも息苦しくなると思う。
単に「嬉しい」「楽しい」という言葉が入っているというだけで
その歌の価値を下げるような読み方はしたくないし、
つくるときにも、「もしかしたらストレートな言葉を使った方がいいんじゃないか」という検討は入れるようにしたい。

あと、毎日歌壇は投稿してから2ヶ月後くらいに載るっぽいことが分かった(まだ2回しか載ってないけど)。
日経歌壇は13日~1ヶ月半くらい。
投稿を検討している方の参考になれば幸いです。

2013年8月1日木曜日

氷の歌

学校は4限目 ぼくは溶けきった氷まくらの音を聞いてる

ともだちは家に呼べない味の無い氷がおやつなんて言えない


ヒースロー空港で見た外国のひとも氷におしっこかけてた


北極の氷は溶けてゆく僕がだらしなくてもそうじゃなくても




暑中お見舞い代わりに、『夜はぷちぷちケータイ短歌』の氷テーマに投稿した過去作を並べてみました。

3首目までが穂村弘さん選、4首目は東直子さん選。

同じテーマの投稿歌のなかで印象に残っているのは次の歌。
背筋にひゅっと冷たいものが走って、涼しくなれる一首です。



回りつつが水に溶かされる 最も静かな共食いとして /大平千賀

「最も静かな共食い」という鮮烈なフレーズと、作者が大平さんだったことを覚えていたので検索できた。

『夜ぷち』の投稿歌もまとめて単行本にすれば、『短歌ください』みたいに売れると思うんだけどなあ。

2013年7月31日水曜日

「このキス短歌がすごい」大賞

そんな賞は存在しない。
けれど、そんな賞がもしも設立されて万が一にも審査員になれたら選びたい歌を紹介します。

僕は、「キス」や「口づけ」のような甘い言葉を詠み込むのが苦手で、少し前に下記のツイートをしたこともある。次の「歌会たかまがはら」もテーマが「キス」だったので見送ってしまった。




そんな自意識過剰な僕に、「こんなキス短歌ならつくってみたい、自害したって構わない」と思わせたのが次の二首。

やはらかなあなたの舌を吸つてゐるもしかしてディープ・キスなのかしら /西澤孝子
(2013年7月28日付 日経歌壇 穂村弘 選)
(穂村さんの選評)下句が意表をつく。もしかしなくても「ディープ・キス」だと思うが、その認識が追いつかないほど夢中で「舌を吸つてゐる」のだろう。
朧月ほしいままなる口づけの邪魔をするのはわたしの髪のみ /同
(2013年6月16日付 日経歌壇 穂村弘 選)
(穂村さんの選評)〈私〉の邪魔をするのが「わたしの髪のみ」という異様な臨場感。

作者の西澤さんは日経歌壇で最近よく見かける方。
僕と同じく豊中住まいのようで、
こんな発想をするひとが近所に潜んでいるかもしれないと思うと(穂村さん的に言うと)くらくらする。

こんなキス短歌ならつくってみたいとは思ったけれど、
男ではこんな凄みはきっと出せないし、やっぱりまだ自害したくはないからしばらく様子を見よう。

「このキス短歌もすごいよ!」「僕の、あたしのキス短歌もすごいよ!」というのがあれば、
コメント欄で紹介してもらえると嬉しいです。
「このキスがすごいよ」「僕の、あたしのキスはすごいよ」はお控えください。
それはまた別の機会に。

2013年7月29日月曜日

一周年キャンペーンの当選結果

おめでとうございます、全員当選です。

次にお名前を挙げる方は、プレゼントの発送先を
daiji.okano☆gmail.com (☆を@に替えてください)宛にお送りください。
ワンコ山田さん、竹林ミ來さん、吉井えみさん、匿名さん(コメント欄4番目に書き込んでくださった方)、東徹也さん、実駒さん、砂山ふらりさん、市川好雪さん、西村湯呑さん、流留歌さん
件名を【プレゼント発送先/応募時の名前】としていただき、
本文に【郵便番号、送り先の住所、受け取り可能な氏名】を入れていただけると
分かりやすくて助かります。

他の方については、僕がこれまでに一度何かをお送りしたことのある方々なので、
送り先に変更がなければそのままプレゼントが届くのをお待ちください。
以前と変更があれば教えてください。

皆さんからいただいたコメントを励みにして、
これからもファスナーを少し開いたり全開にしたり閉め忘れたりしながらやっていきます。
ありがとうございました。